PROJECT STORY 02 こころ揺さぶる理想の動きを追求した
オフィスチェアー「RIDE」の開発。

オフィスチェアー
<RIDE(ライド)>
ロッキングチェアーのように心地よく前後に揺れるワークチェアー。
大きなストロークで、シートがゆったりと揺れる動きは、心地よいだけでなく、
『第二の心臓』の活動を促す健康効果とともに、離着席の負担が少なく、
さまざまに変化するワーカーの姿勢(前傾・水平・後傾)に対応し、
それが特別な操作不要で「負担の少ない正しい姿勢」への移行をサポートする。
  • M.Y
    商品開発/
    2003年入社

    就職活動の自己分析で「子どもの頃から事務用品が好きだった」と改めて気付き、穴開けパンチなどを愛用していたライオン事務器へ入社。3年ほど営業職に従事した後、商品開発部門に異動。現在は課長職を務め、事務用チェアーの開発などを担当している。

  • Y.K
    ソリューション営業/
    2014年入社

    長い歴史を持つ安定したメーカーである点に惹かれて入社。ソリューション営業部門に所属し、オフィス空間などの提案を幅広く手掛ける一方、課長として若手の育成にも力を注ぐ。

開発エピソード

目指したのは「ロッキングチェアー」のリラックス感

「リビングにいるようなリラックスした状態は、新たな発想を生むだけでなく、心身ともに活き活きと健康的に働くことにもつながる」といわれています。1日の中でも長い時間、ワーカーの体を預けるオフィスチェアーによってリラックスした状態に近づけられないか。そんなことを考えているときに頭をよぎったのが、「ロッキングチェアー」でした。ロッキングチェアーに揺られると、前庭系(平衡感覚などに関わる内耳器官)が心地よく刺激され、リラクゼーション効果があるといわれています。オフィスに違和感なくマッチするデザインのロッキングチェアーができれば、リラックスした状態で活き活きと創造的な仕事ができるのではないかと考えたのです。RIDEは、体の重心位置の変化に応じて前後に揺れてくれます。RIDEのように大きくスライドし、スムーズに揺れ動くチェアーは他にはありません。

RIDEには姿勢変化への対応というもうひとつのポイントもあります。昨今、さまざまなデバイス・ツールが登場しており、使うデバイスや作業内容によって、姿勢が変わります。キーボードを打ち込む前かがみの前傾姿勢、タブレットやスマートフォンを操作する後傾姿勢。デバイスの多様化により、執務中に作業姿勢変化が不定期に繰り返し行われるようになりました。RIDEは、前後に揺れるスイングスライド機構により、人の重心移動に従い、適切な姿勢へ導きます。特別なレバー操作をせずに動くので、人側が余計な意識をせずとも、負担の少ない姿勢を保てます。

たくさんの人に座り心地を聞き、「理想の動き方」を追求

RIDEのようなコンセプトの製品を手掛けるのは、当社としても初めてのこと。特に揺れる構造を持ったイスは過去にほとんど例がありません。まさに手探りの状態から開発が始まったわけです。揺れる動きは、安定性と相反関係にあります。大きなストロークでゆったり揺れる動きは魅力的ですが、その一方、スペースが限られたオフィスでの使用を考慮すると、大きな揺れ動きは邪魔にもなりかねません。どのくらいが適切な動きなのか。これを確かめるために試作品を作り、たくさんの方に座った感触をヒアリングしながら、少しずつ理想の形を探っていきました。

RIDEは、背もたれと座面が固定された状態で動きます。その特性をうまくデザインに活かすことも強く意識しました。また、大学教授のご意見もいただきながら、体を適切にホールドするメッシュ材の張り方などまで細かな調整を行いました。実際に筋肉の動きや体温変化を測定してみると、力の弱い女性や高齢者でも、大きな負担なく揺れることができ、血流の改善なども期待できるという効果も判明しました。

とりわけ印象に残っているのが、2019年7月に販売した時の反応です。RIDEを各地に持ち運んで発表会や展示会を行いましたが、来場されたお客様の多くが、座った瞬間に「おお!」と驚きの声を上げ、表情には笑みがこぼれていました。その素のリアクションを目の当たりにした時、開発担当者として心躍るような感覚が沸き上がってきました。

すべての人が座りやすい
オフィスチェアーを作り続ける

おかげさまで大きな反響を呼んだRIDEは、当社を代表するオフィスチェアーとして広く認知されました。納入先でご好評をいただいている話を耳にするたびに充実感があります。

今後は、ダイバーシティの観点を踏まえ、より多くの方に、座りやすい・疲れにくい・使いやすいと感じてもらえるイスを作り続けていきたいと考えています。また、ハイブリッドワークなどが浸透する中で、オフィスでは作業に応じてワーカーが好きな場所を選んで働くというスタイルが主流になりつつあります。働き方が多様化するなかで、それに対応したオフィス家具を作っていくことが私たちの使命だと考えています。

当社には230年の長い歴史があります。その中で全国の販売店さんと強固な信頼関係を築いてきた。これは当社の何よりの財産です。嬉しい言葉だけでなく、時には手厳しい助言をいただくこともありますが、そうした生の意見を大切にしながら今後も理想のオフィスチェアーを追求していきたいと思います。

営業エピソード

「これが当社のイチオシです」と
胸を張って提案できる逸品

RIDEは、座り心地や座面の動きに特長があり、他社にはない唯一無二の商品です。特長も分かりやすく、リリース当初から「素晴らしい商品だ」という感覚を持っていました。

オフィス空間をご提案する際には、お客様からの強い指定などがなければ、基本的に私たちの提案がベースで話が進んでいきます。RIDEは実際にショールームで座っていただくと、かなり多くのお客様に気に入っていただけますね。充実した機能を考えると非常にお買い求めやすい価格帯に設定されていますし、本当に売り込みやすい商品です。

オフィスで事務をされている女性などは、1日7~8時間座りっぱなしという人も少なくありません。そのため、「腰が痛い」といったお悩みをよくお聞きします。そういった方たちから「RIDEに座り始めてから腰痛が軽減した」といった嬉しいお声をいただけるのはとても嬉しいです。RIDEは、一度試していただくとリピート率がとても高いのが特長です。今では導入後のお客様の声をお聞きしながら、カラーラインナップを増やしたり、ヘッドレストを追加したりして、RIDEのブラッシュアップを図っています。

ライオン事務器が、
オフィスのあり方そのものを
提案していく

オフィス空間を提案する時には、「社員の体への負担に最も影響する商品ですし、ぜひ椅子だけはお金をかけてほしい」とお願いしています。健康に直結するものだから、ぜひ試してみてほしいと。RIDEはそれだけ自信を持ってご提案できる商品だと思っています。

コロナ禍をきっかけにテレワークや在宅勤務が定着し、そのまま同じ働き方を継続している企業も少なくありません。世の中のオフィスのあり方や必要性が大きく変わり始めている中で、「オフィスに来る意味」を明確にすることが問われていると感じています。ライオン事務器としては、オフィス家具を通じて、社員の方々が心地よく働き、有意義なコミュニケーションが生まれる場所を提供していくことが重要だと思います。単純にオフィス家具を納入するだけでなく、オフィスのあり方そのものを提案していく。その一環としてRIDEの魅力をこれからも発信し続けていきたいです。

ライオン事務器は、オフィス家具メーカーとしては決して大きな規模の会社ではありません。だからこそ、社内のコミュニケーションが円滑であり、社員一人ひとりがライオン事務器を背負っているという自負を持ちながら活躍していると感じます。「大手企業に負けないスピード感」や「個の力」という強みを活かしながら、これからもより良いオフィス空間を提供し続けていければと思います。